更年期障害と「うつ病」の関係について
更年期障害による症状や不調の訴えは、一説には200種にも及ぶといわれています。
医療現場では「不定愁訴」ともいわれ、「調べてみても原因がよくわからない不調の訴え」として扱われます。
うつ病の場合も、様々な不調が起こることから「不定愁訴」となります。
更年期障害はうつ病と間違えやすいことや、更年期障害からうつ病に移行してしまう場合があることに注意しなければいけません。
今回は、更年期障害と「うつ病」についてお伝えします。
更年期障害による「うつ病」の症状って?
更年期障害による「うつ病」の症状には、どのようなものがあるのでしょうか?
まずは、更年期障害とうつ病の症状が似ている点についてご覧ください。
エストロゲン失調障害(更年期障害)の訴えの順位
- 肩こり
- のぼせ
- 発汗
- 倦怠感
- 腰痛・関節痛
仮面うつ病の訴えの順位
- 肩こり
- 頭痛・頭重感
- のぼせ
- 倦怠感
- 脱力感
うつ病の訴えの順位
- 抑うつ
- 倦怠感
- 睡眠障害
- のぼせ
- 肩こり
仮面うつ病というのは、「うつ病だけれど、身体症状の不調の訴えが強く、他の病気と間違えやすいうつ病」です。
更年期障害が出現する年代は、40歳代〜50歳代です。
2014年の厚生労働省の発表では、女性のうつ病の患者数は40歳代が最も多く、次に60歳代となっています。
更年期障害は、卵巣機能の低下により自律神経が乱れて、様々な身体の不調を起こします。
更年期障害の症状は個人差が大きいですが、女性であれば避けて通ることが出来ない問題でもあります。
しかし、うつ病にかかるリスクが高い年代であることも忘れてはいけません。
また、更年期障害が出ているのに無理をして、うつ病に移行してしまう場合もあります。
更年期障害による「うつ病」の対策と注意点
では、更年期障害による「うつ病」の対策や注意点についてお伝えします。
更年期障害で婦人科に受診した場合、ホルモン療法がおこなわれることもあるでしょう。
しかし、それだけで症状が改善しない場合が多いと指摘する医師もいます。
それは、更年期障害とうつの要因を区別することが難しいためです。
更年期障害の症状がホルモン療法で改善しない場合は、抗うつ剤などの薬を併用することも検討しましょう。
更年期障害からうつに移行しやすい性格傾向としては、「○○べき思考」があるともいわれます。
責任感が強い人やまじめな人ほど、悪化するまでガマンして受診しない傾向にあると指摘する医師もいます。
更年期障害からうつに移行しないための対策
- 無理をしない
- 家族や周囲の人に理解と協力を求める
- 自分で更年期障害と決めつけずに、婦人科や心療内科・精神科に相談する
更年期障害の不調はやがて落ち着くものですが、うつになってしまうと長引き、他の病気にもかかりやすくなります。
責任感が強い人やまじめな人は、早期から「上手に他人に頼る」という方法を身につけることが大切です。